クラウドストレージのメリットを知りたい!
クラウドストレージにはどんなデメリットがあるのかな?
働き方に多様性が生まれてきた昨今、従来のファイルサーバーに代わって、クラウドストレージというデータ管理方法が注目されてきています。
しかし、クラウドストレージは働き方改革や新型コロナウイルスの影響で急速に普及したため、何がよいのかよくわかっていないという方も多いのではないでしょうか。
そこで、この記事では「クラウドストレージのメリット・デメリット」について詳しく解説します。
無料で使えるおすすめのクラウドストレージサービスも紹介するので、導入を検討している企業の方はぜひ試しに使ってみてください。
クラウドストレージとは
そもそもクラウドとは、インターネットなどのネットワークを通して、システムやアプリケーションなどのサービスを提供する形態を指します。
GmailやiCloud・Googleドキュメントなどの身近なツールも、クラウドによって提供されるサービスの一部です。
ここでは、クラウドサービスの1つであるクラウドストレージについて詳しく解説します。
クラウドストレージとは

クラウドストレージとは、オンライン上にあるデータ管理用のサーバーです。従来のサーバーと異なり、物理的にデータを保管する機器は存在しません。
令和5年通信利用動向調査の結果│総務省によると、令和5年時点でクラウドサービスを利用している企業は全体の77.7%と、年々割合が上昇しています。
クラウドストレージに保管されたデータには、インターネットに接続されたデバイスであればどこからでもアクセスできます。そのため、社外のクライアントとの打ち合わせで使うデータをダウンロードして持ち運ぶ、なんて手間もかかりません。
また、権限さえあればデータの閲覧だけでなく編集もできるため、業務効率の大幅アップにつながります。
DX化や・サイバー犯罪への対応が企業にとって喫緊の課題となっている中で、クラウドストレージが果たす役割はますます大きくなっていくと予想されます。
クラウドストレージとファイルサーバーの違い
クラウドストレージが普及するまでは、ほとんどの企業がファイルサーバーという物理的な機器を社内に設置して、データを管理していました。
基本的にファイルサーバーに保管されたデータには、社内の専用ネットワークに接続しなければアクセスできません。そのため、リモートワークや社外での打ち合わせなどには対応しにくいというデメリットがあります。
ただ、システムの構築や機能は自由にカスタマイズできるため、自社の方針に合った形で運用できるというメリットもあります。
下の表はクラウドストレージとファイルサーバーの違いをまとめたものです。
クラウドストレージ | ファイルサーバー | |
---|---|---|
データの保管場所 | クラウド(オンライン上) | ファイルサーバー |
アクセス | 社内外 | 社内のみ |
管理者 | サービス事業者 | 自社 |
導入コスト | なし | 高い |
運用コスト | ・サービス利用料 | ・人件費 ・周辺機器代 |
バックアップ | 自動 | 手動 |
カスタマイズ性 | 低い | 自由 |
容量の増減 | プラン変更のみ | 機器の増設が必要 |
クラウドストレージのメリット

オンライン上にサーバーがあるクラウドストレージには、メリットがたくさんあります。
ここでは、クラウドストレージのメリットを4つ解説します。
【クラウドストレージのメリット】
- 場所を問わずデータにアクセスできる
- 自動バックアップ
- 運用がラク
- コストを抑えられる
場所を問わずデータにアクセスできる
クラウドストレージ最大のメリットは、データへのアクセスのしやすさです。
インターネット環境さえあれば 、場所を問わずクラウドストレージに保管されたデータにアクセスできます。共同編集や社外の人との共有も簡単になるため、業務効率の向上も期待できるでしょう。
また、社外にデータを持ち出す必要がないため、情報流出やデータの紛失のリスクも軽減できます。
自動バックアップ
クラウドストレージに保管されたデータは、サービス事業者によって自動でバックアップされます。
データはバージョンごとかつ何重にも保管されるため、誤って編集や消去してしまった場合にも復元が可能です。これは、災害時のデータ消失や復旧の遅れなどのリスク軽減にもつながります。
運用がラク
自社でシステムの構築や運用をすべて行う必要のあるファイルサーバ-と比較して、クラウドストレージの運用は非常にラクです。
前述した通り、クラウドストレージのシステム構築や運用・メンテナンスはすべてサービス事業者が行います。
これは、設定ミスやメンテナンス不足が起きにくくなるとともに、自社担当者が他の業務に集中できるなどのメリットにもつながります。
コストを抑えられる
ファイルサーバ-と比較して、クラウドストレージはコストを抑えることができます。
ファイルサーバーはサーバー機器の購入・管理を行う担当者の人件費など、導入や運用にコストがかかります。一方クラウドストレージは月々の利用料金は発生しますが、導入コストや人件費がかかりません。
そのため、トータルで見た場合、ファイルサーバーよりもクラウドストレージの方がコストを抑えられることが多いというわけです。
クラウドストレージのデメリット

ここまででクラウドストレージの多くのメリットを解説しました。しかし、メリットがあればデメリットもあるものです。
ここではクラウドストレージのデメリットと、その対応策について解説します。
【クラウドストレージのデメリット】
- インターネット環境が必須
- カスタマイズ性が低い
- セキュリティリスク
インターネット環境が必須
オンライン上にあるクラウドストレージには、インターネット環境がなければアクセスできません。これは通信環境の安定しない場所での作業や、災害時などに業務へ大きな支障をきたします。
こういったことに備えて、インターネット環境の整備や重要データのオフライン保存などの対策が必要です。
カスタマイズ性が低い
クラウドストレージはファイルサーバーと比べて、カスタマイズ性が劣ります。
これは、クラウドストレージがサービス事業者が提供する機能の範囲内でしか、カスタマイズできないことが原因です。
一方ファイルサーバーは、システムの構築から実行まで自社に最適な設定が可能となります。
こういったことから、クラウドストレージを導入する際には、サービス事業者が提供する機能やカスタマイズ性を事前に確認しておくことが重要です。
セキュリティリスク
令和5年版 犯罪白書│法務省によると、令和4年のサイバー犯罪検挙数は12369件と年々増加傾向にあります。また、IT技術の発展に伴い、サイバー攻撃や不正アクセスなどの手口も悪質かつ巧妙化していることも事実です。
インターネット環境が必須のクラウドストレージには、このようなセキュリティリスクがつきまといます。
サイバー犯罪によって大事なデータが流出・消失することを防ぐために、クラウドストレージを選ぶ際には、サービス事業者のセキュリティ対策やアクセス権限の管理機能が十分かの確認が必要です。
クラウドストレージを選ぶポイント
ここまでで、クラウドストレージのメリット・デメリットを解説しました。
次に、クラウドストレージを選ぶ際に注目してみるべき項目について解説します。
【クラウドストレージを選ぶポイント】
- プラン料金
- ストレージ容量
- 機能
- サポート
プラン料金
会社の規模や使用用途・社員数などを踏まえ、最適な料金で利用できるサービスを選びましょう。
クラウドストレージは、特に「ストレージ容量」と「ユーザー数(使用できる人数)」によって、プラン料金が大きく変わります。
クラウドストレージはプラン変更が簡単であるため、使用イメージが明確になっていない場合は、無料プランやストレージ容量の小さいプランから導入してみるのもおすすめです。
ストレージ容量
データを保管できる量を表すストレージ容量は、クラウドストレージサービスを選ぶ際に必ず注意してほしいポイントです。
ビジネス向けプランのストレージ容量は、チームで使える合計容量であることが一般的です。ユーザーが1人あたりが使える容量ではないため、勘違いしないようにしましょう。
また、クラウドストレージには「サブスク型」と「買い切り型」の2種類があります。
サブスク型・・・毎月料金を支払う
買い切り型・・・最初にまとめて料金を支払う(追加料金なし)
「買い切り型」は、長期間変更なしで利用する場合はお得になることがありますが、最初にかかる高い導入コストやサービス終了のリスクを考えると、あまりおすすめはできません。
どの程度ストレージ容量が必要かわからない場合は、まずは容量の小さいプランを選択しましょう。
プラン変更は簡単にできるため、容量が足りなくなったり会社の規模が拡大したりした際に変更すれば、無駄なコストの削減にもつながります。
機能
サービス事業者が提供する機能は、クラウドストレージを利用するうえで非常に重要なポイントです。
クラウドストレージはファイルサーバーと比較してカスタマイズ性が低いため、サービスに備わっている機能が大きな役割を持ちます。
特にセキュリティ対策やアクセス権限の管理など、サイバー犯罪に対する機能は重視しましょう。また、大人数でのストレージ共有などビジネス向けプランにあっても、個人向けプランにはない機能もあります。
自社にとってどんな機能が必要か、どのような使い方をするのか、導入前に社内で明確にしておきましょう。
サポート
サービス事業者によるサポート内容も確認しておきましょう。
クラウドストレージは、サービス事業者が運用・管理・メンテナンスすべてを担うため、社内において高い専門スキルを持つ人材は不要です。これはメリットである反面、トラブルが起きた際に自社では対応できないというデメリットでもあります。
こういったことから、万が一に備えてファイルサーバーからの移行サポートや、24時間のオンラインサポートなどのオプションがあると安心です。
無料のクラウドストレージサービスおすすめ2選
ここでは、「とりあえずクラウドストレージを使ってみたい」という方向けに、無料プランのあるクラウドストレージサービスを2つ紹介します。
あくまで無料プランは個人向けであるため、ビジネスとしての利用には少し機能が不足しています。
そのため、ビジネスでのクラウドストレージの導入を検討している方は、操作感や機能を確かめるためのお試し用としてご利用ください。
【無料のクラウドストレージサービスおすすめ2選】
- Googleドライブ
- Dropbox
Googleドライブ

出典:Google
- 無料プランは15GB
- 有料プランも豊富
- Googleアカウントがあればすぐ使える
Googleドライブは、Googleが提供するクラウドストレージです。
Googleアカウントさえあれば15GBまで無料で利用できます。また、「GoogleOne(個人向け)」もしくは「GoogleWorkspace(ビジネス向け)」という有料プランへの切り替えで容量を増やすこともできます。
他のGoogleツールとの連携にも優れているため、GoogleスプレッドシートやGoogleドキュメントを使用している方はぜひ一度利用してみてください。
プラン名 | 無料プラン | ベーシック | プレミアム | ビジネススタンダード | ビジネスプラス |
---|---|---|---|---|---|
料金 | 無料 | 250円/月 | 1,300円/月 | 1,360円/月 (1ユーザーあたり) | 2,040円/月 (1ユーザーあたり) |
ストレージ容量 | 15GB | 100GB | 2TB | 2TB | 5TB |
ユーザー数 | 1人 | 5人 | 5人 | 300人 | 300人 |
ファイル共有 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
※2025年1月時点
※料金は税抜価格です。
Dropbox

出典:Dropbox
- 無料プランは最大16GB
- 無料トライアル期間あり
- シンプルな操作画面
Dropboxは、Dropboxが提供するクラウドストレージサービスです。
無料プランである「Basic」の通常容量は2GBですが、Dropboxを知り合いに紹介することで最大16GBまで増やすことができます。
また、ビジネス向けプランでは30日間の無料トライアルを試すことができるため、操作感を確かめたい方はぜひ利用してみてください。
プラン名 | Basic | Plus | Essentials | Business | Business Plus |
---|---|---|---|---|---|
料金 | 無料 | 1,500円/月 | 2,700円/月 | 2,900円/月 (1ユーザーあたり) | 3,600円/月 (1ユーザーあたり) |
ストレージ容量 | 2GB | 2TB | 3TB | 9TB | 15TB |
ユーザー数 | 1人 | 1人 | 1人 | 3人以上 | 3人以上 |
ファイル共有 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
※2025年1月時点
※料金は税抜価格です。
クラウドストレージのメリット・デメリットを理解して導入しよう
この記事では「クラウドストレージのメリット・デメリット」について解説しました。
最後にもう一度重要なポイントを確認しておきましょう。
【この記事のまとめ】
- クラウドストレージはオンライン上にあるサーバー
- ファイルサーバーと異なり物理的なサーバーはない
- クラウドストレージはデータにアクセスしやすい
- クラウドストレージはインターネット環境が必須
クラウドストレージはインターネット環境さえあれば、場所を問わずオンライン上のサーバーに保管されたデータにアクセスできます。
これは、リモートワークを取り入れる企業やフリーランスにとって大きなメリットとなる一方で、サイバー攻撃や不正アクセスの被害に遭いやすくなるというデメリットにもつながります。
大事なデータの漏洩や消失などのトラブルに巻き込まれないためにも、十分なセキュリティ対策を行ったうえでクラウドストレージを利用しましょう。